校長の言葉(10月)

 朝夕はすっかり冷え込むようになりました。秋の深まりを感じる今日この頃です。
 さて、25日(木)に本校の伝統行事「第42回闊歩大会」が開催されました。伝統の男子40キロ、女子30キロが復活して3回目の実施です。文字通り雲一つない晴天のもと、絶好のコンディションで開催できました。
 道中で指導にあたる先生方はもちろん、各ポイントで通過生徒のチェックをお願いしたPTAの役員・理事並びに有志の保護者の皆さん、沿道で生徒に応援の声をかけてくださった地域の方々、当日の救護にあたっていただいた稲沢厚生病院のお二人の看護師さん等、本当にたくさんの方々に支えられている行事です。そして、今年も昨年と同様に、17回生OBのKさんが生徒と一緒に40キロのコースを歩いてくださいました。もう4回目になるそうです。その上、今年も全校生徒にミネラルウォーターを差し入れていただきました。本当にありがとうございます。また、今年は同窓会長のTさんにも参加していただきました。
 今年の闊歩大会のスローガンは「踏み出せ、次の一歩」でした。昨年は同窓会とPTAの皆さんのご厚意で、40年間使い続けてきたゼッケンを新調しました。新しいゼッケンで歩く2年目の大会です。まさに「次の一歩」を踏み出し、新たなステージが始まっています。
 ちなみに完歩率は1年男子が82.1%、女子が89.5%、2年男子が78.8%、女子が91.5%、3年男子が77.6%、女子が81.4%という結果でした。全体の完歩率は82.8%でしたので、今年は昨年以上に頑張りました。とくに2年女子は、昨年1年生の時も96.2%という驚異の数字をたたき出しています。来年も期待しています。
 この闊歩大会で、くじけそうになる自分と向き合い、仲間同士で励まし合い、「勇気」と「根性」と「友情」を育み、完歩するという目標を達成した充実感と成就感を味わい、やればできるという「自信」を獲得できたはずです。
 この経験が、これからの人生で何かつらいことや壁にぶち当たったときに、「いや、私はあの闊歩大会であそこまで頑張れた。だから、まだ頑張れるはずだ」と、心の支えになる「記憶」となることを願っています。
 話は変わりますが、翌日の26日(金)に一宮高校の100周年記念式典に出席しました。記念講演でうかがった、青色LEDの開発で2014年にノーベル物理学賞を受賞された名古屋大学の天野浩先生のお話が心に残りましたので、紹介します。
 天野先生は幼い頃からとても慎重な性格で、必ず安全な選択をしていたそうです。たとえば、高校進学も地域のトップ高ではなく、2番手校へ。大学も本当は数学が大好きだったので、K大の理学部数学科に進みたかったのですが、共通一次テストで失敗したので、安全なN大の工学部を選んだそうです(もちろん名古屋大学のことです)。
 大学へ入学して、いざ工学の勉強を始めると、ちょっと後悔の気持ちもあったそうです。でも、工学概論の講義で、先生から「工学部の『工』の文字は、「一」と「一」を線で結んでいる、すなわち「人」と「人」をつなぐ学問だ」と聞いて、ハッとしたそうです。「勉強も同じだ。自分のためにするのではなく、人のためにするものなのだ」と悟ったそうです。また、「人と違っていても、自分がやるべきだと思ったことをやればいい」と確信できたそうです。そしてその後、当時実現は不可能といわれた青色LEDの研究に邁進されます。
 「勉強は自分のためにやるのではない、人のためにするのだ」本校生徒にも、そんな精神で取り組んでもらえたら、と考えています。

 平成30年10月30日
校長   三 浦 治 夫



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